乳がん発見から手術までの道のり⑬(謎のドリンク)
私は仕事で家にいなかった。
友達から「これを渡して欲しい」と大きな紙袋を預かったのこと。後で夫から連絡があった。
袋の中にはワインボトルサイズのビンが1本入っていた。手紙も添えられており、このドリンクを手術まで飲み続けて欲しいとのこと。飲めば癌が消えるとのことだった。
1本の値段が1万円近くする高価なものだった。1週間で1本飲むようにとのこと。
そして、そのドリンクと一緒に定期申込書が入っていた。
気持ちは有難かった。しかし、心は複雑だった。
40年近い付き合い。友達の純粋さは十分知っている。心から癌が治ること願ってくれたのは十分に伝わった。頂いたドリンクは飲ませていただいたが、申し込みはしなかった。
でも、その気持ちは有難かった。
このことがあって以来、私は癌のことを友達に伝えるのをやめた。
夫と両親、数人の親しい友人しか、私が癌になったことを知らない。